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巣鴨の古着屋に行ってみたレポ

みなさんはどちらに住んでますか?私は、東京です。

 

いきなり所在地聞くって、どこ住み?って聞いてくるナンパ師みたいだよね、ごめんね。私はナンパは2回されたことあるんだけど、今日はその話はしません。今日するのは、私が最近行った東京の巣鴨という街にあるめちゃくちゃ良い古着屋の話です。新品の服が好きなみんなピも、与太話程度に聞いてくれよな。まぁ私の話なんてぜんぶ与太話なんですが。。。

 

私は古着が好き。別に美大生は全員古着かハイブランドしか着てないよとか、そんなことは思ってないんですけど、古着が好き。安いってのは低所得者の私にとっては有り難いけど、一番の理由は店の天井が低いから。109の何階かのメンズ服売り場って美術館なのかってくらい静かだし、広いんですよね。店も綺麗で働いている方の服も一片のシワもない。きれいだけど、なんか落ち着かない。H&MとかUNIQLOとかは逆に、人が居すぎて落ち着かない。みんなそんな服買いたいんだ…ってなる。高めのセレクトショップは今度は、天井が高い。やけに細めの通路にハンターハンターの強めの念能力者ってくらい"気"を放った感性ビンビンのオシャレパーソンが立ってて、何と戦ってるんだ彼らはと思う。服の知識もぜんぜんないし戦えませ〜んって感じで、私の足はそういう落ち着かない空間から逃げるように古着屋さんへと向かう。

 

古着屋さんはだいたい店内が狭いので、高家賃の土地を縫うようにこれでもかってくらい物が敷き詰められている。でも店主の持ち味で、統一感があってみえる。変な服きた脱力系の店主が店構えてたりするので、昔の駄菓子屋さんに似ている。服にもタグ付いてるのと付いてないのあるし、これいくらですか?!って聞く勇気も必要。私は人と話すのが好きだからそういうのは苦にならず、むしろ全てが理論的に組み上げられていると無駄なコミュニケーションが生まれないので寂しい。モラトリアムにはゆるい店の方が心地いい。休日くらい経済とかそういうのから解放されたい。

 

私は服だけ買いにお出かけ出来るほどバイタリティが無いので、いつも午前中に美容院を予約してその流れで向かいます。なんとなく髪型が決まってないと服買うの恥ずかしい。誰も見てないの分かってるけど、古着屋が多い街ってハイセンスと書かれた札を額に貼り付けて歩いてる若者が大勢いて、みんな足首出してる。わたしはもうアラサーだし、せめて髪型くらいはちゃんとしていきたい。最後の手綱だよね。ここだけはしっかりしとこ、みたいな。そういうわけで、いつもは美容院を出てそのままその辺ウロウロするんですけど、その日はふと思ったんです。めちゃくちゃオシャレなオバさんになりたい…って。

 

みんな、幸せにはなりたいですよね。でも、実際どういう人が幸せそうって思いますか?…ITとか不動産系の社長?わかる。侍らせてそうだよね、麻布とかでね。うん、医者の娘?いいよね。うちのパパ、医者なんだけど?って言えば大概の事は通用するもんね。その上顔もかわいいとなればもう無敵だよね。夜道には気をつけようね。うんうん、二世芸能人?あー、あの人たちは親族と比べられちゃうから、お金は持ってても案外幸せじゃないんじゃないかな。ホストに貢いじゃったりね。変な薬やっちゃったりね。誰とかじゃないからね。

 

私は最近、人類で一番幸せなのは裕福なオバさんなんじゃないかって思ってます。人類以外だったら、そのオバさんに飼われてる家ネコかな。ほら、たまにいるじゃないですか。お年を召されてもキラッキラなお洋服を着て、シニアグループの中でも一際目立つ、ゴージャスなオバ様。人生楽しみ尽くしました!って感じの晴れやかな顔をしてる。もちろん、故・樹木希林さんのように清貧を貫いている方も素敵なんですけど、純粋な幸福度の高さでいえば物質的に恵まれたオバ様になりたい。人生、チョロかった!って言いたい。

 

巣鴨って街は、そういうオバ様が闊歩する街として知られていて、別名お婆ちゃんの原宿とかなんとか。原宿はあまりピンとこないのですが、巣鴨は好きです。前に友達と遊びに行ったときは、『純喫茶スカイ』で4、5時間テーブルついてる変なボタンを連打しながら駄弁ったり、『ときわ食堂』でアジフライ定食を食べたりしました。700円でアジ3枚も付いてるの、なにげに凄い。でも巣鴨に26歳成人男性が着れるような服屋なんて…と思ってたんですけど、どうやら一軒だけ古着屋があるらしい。それが『humor(ユーモア)』。

 

ネットの海を彷徨っていたときに偶然みつけ、存在だけは知っていました。その日も思い立ったが吉日ということで、巣鴨に行ってみることにしました。

 

まず、店が二階にあって結構わかりにくい。 iphoneのマップ頼りに十分ほど迷いながら、なんとか到着。二階の古着屋って、ちょっと入りにくくないですか?私は一階の1.5倍くらいは勇気を出さないと入れない。入ってアッ、間違えました〜みたいに撤退するのはなんか許されないっていうか、勝つか負けるかしないと出られないボス戦前の扉って感じがするんですよね。やべ、セーブしとかなくちゃみたいな。そこももれなく、看板とかもなければ窓にhumorと白字で書いてあるだけなので、外から店内の様子はわかりません。中にはどんな強敵が…とりあえず勇気を出して潜入。

 

店内にはどことなくアジアンな香りのする柄物の服ばかり。私はまず薄ピンクの長袖シャツに刺繍でネコの絵がしつらえてあるものを手に取りました。刺繍の服すごく好きなんですけど、なかなか気に入るのって少ない。ワンポイントくらいでいいのに上半分くらい謎の模様で覆われちゃってるやつとか、デザインはいいけどやけに高かったりとか。このシャツも、かなりイケてるが高いのだろうか…値札が貼ってない。そのときはちょうど他の客が帰ったところだったので、わたしは店主の近くに移動し話しかけられるのを待ちました。

 

「この店、前にも来られたことあるんですか?」

 

見ると、スラッとした細身にオーバーサイズのシャツが似合う、オシャレなお兄さんが立ってました。髪型はパーマ。言われなかったらお客さんかと思ってしまうくらい若い。

 

「いえ、今日が初めてです。」

「そうなんですね。どこでこの店を知ったんですか?」

「ネットサーフィンしてたとき、偶然…」

 

ちなみに、ネットサーフィンはもう死語らしい。古からのネット民のぎこちない返事に気にもとめず、笑顔を向けてくれるお兄さん。そうだ、シャツの値段聞かねば。

 

「ちなみに、これっていくらですか?値札貼ってなくて…」

「ああ、丁度今セールやってて、あそこのハンガーラックは全部3,000円なんです。それも3,000円ですね。こっちは3,500円。」

「えっ、安い。」

「そうなんです、かなりお買い得かも。さっきのお客さんなんて5着ほど買っていかれましたよ。」

「そうなんですね、偶然だけどきてよかった。」

「あはは。遠慮なく着てみてくださいね。うちはお客さんが自由にやってもらっていいスタンスなんで。ハンガーとかも、その辺にポイしといていいですよ。」

 

優しさに甘えて、試着しまくりました。10着くらい試してみて、最終的には紫の裾がボワッとしたパンツと、謎の中国っぽい柄のシャツと、虎の絵が描かれたTシャツを選んだ。店主曰く海外で買い付けることが多いそう。だってこんなの日本に売ってないもん!とのこと。ふと、お会計の時に店主が聞いてきた。

 

「お客さんは普段はどういう服を着てるんですか?」

「あ、普段はゆるく着れるのが多いです。柄物も好きなんですけど、なかなか良いのが無くて。ほら、大阪のおばちゃんみたいなの。オシャレじゃないですか?目立てば勝ちみたいなの。」

「目立てば勝ちみたいな。」

「私、もともと暴れたいって思ってて、でも今の若者の風潮的に暴れられない雰囲気あるじゃないですか。大人しくしとこうみたいな。でも自分の中にはぜんぜん暴力的な部分があって、そういうのが選ぶ服に現れてるんだと思います。虎の思念みたいな。」

「あー…。」

 

キモい。流れに身を任せてつい、過去が重いドラマキャラの台詞みたいなこと言ってしまった。私はそういうやつなのだ。店員さんもなんか上の方向いちゃってるし。私が手に取った柄シャツの虎も、心なしか悲しそうにこっちを見てる。

 

しかし言ったことは本当で、私は本来派手な服を着たい。ファッションデザイナーのアレキサンダー・マックイーンは、「ファッションとは空想の世界であるべきだ。」と述べている。着るものというのは着ている人から少しだけ浮いている必要があり、着地してるとみっともない。セッションと同じで、喧嘩にならない程度に互いをリードしてやる必要がある。阿吽の呼吸というやつかもしれない。私が派手な服を着たいのも、内面がシンゴジラ第二形態だからとかそういうのもあるけど、頑固なのに地味な服を着ると足元が沈んで行く気がするのだ。気づいたら身動き取れなくなる。フワフワのパジャマみたいな服は、そんな私を地上に連れ出してくれる。

 

 

 

そんなわけで買ったシャツがこちらです。

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虎の思念。元来の暴れたみ。ラップとかしてる若者がこういう服着る気持ちがわかる。世間にパンチかましたいのだ。しかし武力では勝てないため、空想の力に頼る。イマジネーションにはクソみたいな現実を変える力があると結構マジに思う。私たち、もっと暴れてもいいんじゃないかな?

 

こんど友達とチャイナコ〜デ会をするのですが、そのときは『humor』で買った激かわおシャツを着ていこうと思います。そんでプリ撮るの。いいでしょ。

 

まとめ。

 

--"お婆ちゃんの原宿こと巣鴨に一軒だけある古着屋『humor』。そこは柄服の宝庫だった。店主セレクトの奇々怪界な洋服たちは、買主が現れるその時を待っているように見える。「誰が買うとかは気にしてないですね。直感で、気になったらとりあえず買い付けます。」そう話す店主の目には静かな野心が宿っている。自分の感性を信じる、虎のような闘志を。"--

 

セールの告知はインスタグラムでされるみたいです。(勝手に記事にしてすみません!)